誕生日より翌日、時紡は古びた片田舎を訪れていた。
そこは、すでに農耕に従事する者も数少なくなり、特産といえば澄んだ空気と森林浴くらいしかなく、すでに人が住むには終わりをつげようとしている程のド田舎である。
「はぁ~・・・」先程から時紡の口からは、ため息しかでていない。
ため息もでるというものである、なにも好きこのんで、こんなド田舎に足を運ぶ若者はいない。
これが父親からの誕生日プレゼント、となれば尚更である。
時間は少しさかのぼり、時紡の家族団欒誕生日祝いの席に移る
「お兄ちゃん、おたんじょぅびおめぇでとう」
今年5歳になる妹の琥美(くみ)が、いかにも自分でラッピングをしたであろう少し大きめのプレゼントを、俺に渡してくる。
おやじがちゃんと時間道り帰ってきて、300グラムはあらんとするステーキを食べた後、しばしTVなどを見ながら時間をつぶし、ケーキタイムに入らんとしているそんな時に、先程からそわそわしていた琥美が、おふくろの合図とともにプレゼントをもってきた。
「おぉ!くれるの?」解りきったことだがしっかり受け答えてやる。
「うんうん!!」目を大きく開き、首が抜けてしまいそうなぐらいに大きくうなずいている。
「開けてもいいかな?」すると、まってましたとばかりに俺をせかす琥美である。
中を開けて見ると、・・・・なんだこれ?・・・・・・パンダの顔をしたクッションのようだが・・・・白の部分が全部あずき色をしている。
「うわぁ~かわいいクッションだね!でこれなんてキャラなんだろ?」と。、とりあえず聞いてみる。
「あずきパンダちゃん!」勢いよく答えてくる・・・大事にするねと言うと、琥美は満面な笑み・・・
このセンスの悪いあずきパンダちゃんを俺は、この先どう使おうか思案していると
「まだ中に、も一個あるよ!」
ん?本当だ・・・中にはニケテンドウDS用ソフト[ポケットの中のモンスター 燻銀]が入っている。
このソフトは、子供に大人気で琥美も夢中になってやっているソフトだ。
きっと俺と一緒にやりたくて、プレゼントしてくれたんだろう。なんてかわいいんだ!これから先、俺は妹と書いて萌えと読むことを心に誓う。
ちなみに、この二つのプレゼントの金の出所は、両親がだしたのは間違えない。年をとってからできた子供なので、そこら辺は以上に甘いのだ。
それからお決まりのケーキタイムを迎え、早速妹とポケットの中のモンスターを通信プレイしていると、おやじがおもむろに話しかけてくる。
「時紡、父さんからもプレゼントがあるんだ」
「えぇ~~~!!」俺はおおいに驚いてしまった。18歳にもなると親いからの誕生日プレゼントなんて期待していないものである。
そして渡されたのは、縦長の封筒・・・・おぉ~これはもしや現金か?!たぶんそのときの俺の瞳には$マークがくっきり浮かび上がっていたであろう。
早速、中身を確認してると、新幹線の往復チケットと3万円・・・・現金が入っていることに安心したものの、新幹線の往復チケットは間違えか?
「おやじ、これは間違えだろ?」と新幹線の往復チケットの方をつき帰そうとすると
「いやそっちがメインで、現金は必要になるかもしれないから入れといた」どうも、今ひとつおやじが言わんとしていることが、つかめずにいると
「時紡、悪いが明日じいちゃんのとこまでいってくれるか?」唐突すぎる・・・しかし、冗談でもないようだ。
「でも、明日は学校あるし、意味わかんねぇ~よ、なんかあんのかよ?」このバカおやじめ、突然すぎるから、わけわかんね~じゃん
「明日は学校休んでいいから、それと現金のほうは残ったら、お小遣いにしていいから」いやいや、答えになってないですよ、それに誕生日プレゼントといわれて渡されたものを返したりするわけないでしょ。
「まぁ~、じいちゃんが寂しがってるんだよ、お前の18の誕生日を祝いたいんだって」いかにもらしい、答えが返ってきたが今ひとつ納得がいかない
その後暫く間、俺はおやじにくってかかったが、おやじはそれをノラリクラリと受け流し最終的には、明日じいちゃんの家にいくことになってしまった。
本当のところ、学校をずる休みできるのはいいのだが、なにも無い田舎に行くのが面倒ってのもあるし、なにより、ネットゲームができなくなるのが嫌だった。
「って、こんなの誕生日プレゼントじゃなくて、命令じゃんか」と一人部屋でぼやいた。
そして時間は元に戻り、時紡はため息まじりに駅より2時間の道のりを気だるそうに歩いている。
しかし、祖父の家につくころには、のんきに祖父よりお小遣いをもらえるかもと期待に胸をふくらませいるのである。
-序章.3 お家柄-へ続く
作者より
仕事が急がしかったり、ゲームのLvあげにいそしんだりで更新が1週間ぶりになってしまいました^^;
まだまだ出演者募集中ですので、我こそはってかたは是非是非コメントください><
PR