 
 某国某州地下、そこは表より見ると五角形と特徴的な建物である。
 そんな、誰もが知る建物の地下の一室
 その部屋の中央には卵形をした箱が置かれている、そして、その周りをパイプや配線がところせましと部屋中に広がっている。
 その卵型の箱の機能を維持するためだけにあるフロア。
 そんな歪な部屋の中に、白衣を身にまとった男が一人。
 「クク・・・クフ・・・クフフ・・・クフ」と奇妙な笑い方をし、モニターを確認しつつ、目の前にある装置を操作している。
 いや操作しているというより、いじりまわしているというべきだろうか。
 「クックフフ、ここをこうして・・・クフ・・・ここまで・・・フフ・・・クフフフ・・・形がクフ」奇妙な笑いを浮かべながら、モニターを眺める。
 Dr.サクリファイ この奇妙な笑いかたをする男の名前である。
 彼は、この国が誇る特別な博士であるものの、その異常差ゆえに表の世界での研究を禁止され、この五角形の建物地下に囲われている。
 しかし、彼自身は研究さえできれば場所も時間も関係がないので、特にそのことに不満をもっていない、むしろこの男が表に出て困るのはこの国のほうだ。
 彼の常軌を逸した研究は、幼少のころより数多に上る。
 幾つか例をあげれば、肌の色を黄色人種色にする薬を発明し、学校の飲み水にまぜ学園にいる人間のほとんどが黄色人種になってしまった「イエローウィッシュ事件」、また、猫の言葉が話せるようになる薬を発明し、某社ペットショップで売るも、服用すると「ニャ~」としかしゃべれなくなり人語が理解できなくってしまう「キャットトランファー事件」、さらに、イナゴと蟷螂(かまきり)を合体させてイナキリという新たな生物を誕生させるも、逃げ出したイナキリが大量発生し作物に大打撃を与えるも、蟷螂の特性により雄の激減より一週間で収束した「アイダホメンズクライド事件」そしてこの研究施設にくるきっかけとなった、ある一定の電波をキャッチできる人間のみに作用する酷い下痢を催す電波装置を発明し、この国の大統領を3週間にわたり苦しめた「パフォーマンス オブ ビックボス アー 10ミニッツ事件」、しかし、これらはまだかわいい方である。
 本来なら、このような常軌を逸した研究者は拘束されてしかるべきなのだが、彼の能力を惜しんだこの国は、彼をこの研究施設に囲いこみ、表の世界ではできないような研究をさせているのである。
 「クフフ・・・ここら辺が限界か・・・クフフ」奇妙な笑い方をしながら、装置の操作をやめ最後に一つのボタンをおすDr.サクリファイ、するとプシューという音とともに卵型をした箱の扉が開く。
 扉が開くと中より、一人の男が出てくる。
 全身より湯気が出るほど汗をかき、目には酷い隈があり、その隈は目の下だけにとどまらず、パンダのように目の周りを黒々としている。
 その男の左手4つの指には、刺々しく一連に繋がっている指輪、メリケンサックが握られている。
 その男は足取りもふらつき、うつろな目つきでフラフラとして、精根が尽きてしまった感じである。
 そんな男にDr.サクリファイは「クフフ、やぁリンク」と奇妙な笑いと共に語りかける。
 「クフ、すばらしいよ、クフ、形までかわっちゃうなんて、クフフ」と男の疲労など気にせず語りかけ、リンクと呼ばれた男にドリンクを手渡す。
 リンクと呼ばれた男は、不機嫌そうにそのドリンクを受け取り一気に飲み干す。
 「うげぇーー、あめーーー」っと、いかにも舌にあわなそうに、舌を出す。
 「クフフ、しかたないよ、これだけ消費しちゃうとね、こういうのが無いと君死ちゃうよ、クフフ」っと死でしまっても、いいかな程度にいう。
 「クフ、クフフ、今日は重力100倍だったけど、いいデータが取れた・・・クフフ」あの卵型をした箱は、どうやら重力を機械的に操ることのできる装置だったようだが、なんの為にリンクと呼ばれた男がこの装置に入っていたかは不明である。
 「どうでもいいけど、今日はこれで終わりだろ、帰らせてもらうぜ」っと研究事態に興味がなさそうに、リンクと呼ばれた男はその部屋を跡にしようとするが、サクリファイに呼びとまられる。
 「クフ、実は日本にいってもらいたいんだね、クフフ」奇妙な笑いかをしながら、リンクと呼ばれた男に言う。
 「ああ~、また所有者の特定ができたのかよ」っとあまり乗る気ではないようだ。
 続けて、前回みたいにまったくの外れじゃないのかと聞くリンクと呼ばれる男。
 「CIAよりレポートがあがってきてねクフ、今回は詳しく特定がされてるから楽でいいよクフフ」どちらにせよリンクとよがれた男が日本に行くことは決定しているようだ。
 まあ行ってくるよとリンクと呼ばれた男は部屋をあとにするが、Dr.サクリファイはクフフと奇妙な笑いをしながら、研究を続ける。
 これよりリンクと呼ばれた男、朽木 陸空(くちき りんくう)は日本に向かう。
 時紡の祖父が、不慮の死をとげてさほど時間もたたない時に・・・
-第一章.1 災害- へ続く
-作者より-
序章もこれで終わりです。
小説って思いのほかタバコが進みますwいっぱい吸ってますw
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ドンドンドン・・・「じい~ちゃ~ん」時紡の祖父の家の戸を力強く叩きながら、祖父を呼ぶ。
 時紡の祖父の家にはチャイムがない、それも家事態がそれなりに大きいので、中に入る祖父まで声が届かないのだ。
 神薙家は東北地方では、それなりに名家なので家も大きく裏にそびえる山々も祖父の所有物である。
 また、田舎らしく、近くに民家はなく、どれだけ大声をあげても、これといって問題もない。
 何度か祖父を呼ぶものの、祖父が出てくる気配がない
 「むぅ・・・暑い・・・」まだ真夏日とはいかないもの、少し暑さを感じる陽気の中、2時間も徒歩で歩いているので、すでに時紡はアセだくである。
 「おーーい!じいーちゃーん!!」ったく・・・留守かな?あぁ~暑い暑い暑い・・・俺は短気をおこしおもいっきり戸を叩いた
ドンドンドンドン!!・・・ん?奥から人の気配がする
ガラガラガラーー!!勢いよく戸が開く
 「なんじゃ!馬鹿者!おるわ!!」・・・なんだよ!じいちゃんいるのかよ・・・いるなら素直にでてきてくれよぉー、この暑い中またせんなよ!
 「お!時紡じゃないか・・・なにをしておるんだ?戸など叩きおって、入ってくればよいであろう!」・・・そう、そう俺はすっかり忘れていた・・・このド田舎には、泥棒がいるという概念がないのだった・・・だから、用がある時は勝手に入ればいいということを・・・くぅ~しまった・・・暑いのガマンしっちゃったよ(涙)
 「まぁ良い!支度はすんでおるからすぐに出発するぞ!」
 「ちょっじいちゃん出発ってどこいくんだよ?」
 「ん?なんだお前なにも聞いておらんのか?」って何か聞きたいのは俺のほうだ!しかし、怒鳴りたい気持ちをグットおさえ再度質問してみる
 「えっと、俺はさ、じいちゃんが寂しがってるからここにくるように、おやじに言われてきたんだけどさ・・・どっか連れて行ってくれるの?」落ち着け俺!がんばるんだ!きっとお小遣いがまってるぞ!
 「はぁ~時成(俺のおやじのことだ)らしいな!ったくあの馬鹿はしかたないな・・・ブツブツ」な、なな・・・なんなんだ?!
 「まぁ~良いは!ちょっくら裏山の神社まで付合って貰うぞ!」えぇ~~~~~~説明なしですか?じいちゃんもおやじと同じくらい理不尽極まれないですよ!
 じいちゃんは、玄関に立てかけてある杖と、手に持っていた手ぬぐいを首にかけると、何も言わずにそのまま裏山のほうへと歩き出す
 俺は、どうすればいいのか解らずにその場に立ちすくんでいると
 「なにをしておる!早くしないと日が暮れて帰ってこれなくなるだろ!」っと、じいちゃんにせかされて慌てておいかける形となる・・・今年で87歳になる老人とは思えない元気さだ(涙)
 裏山というとちょっとして高台程度の山を想像するが、じいちゃん家の裏山はそれなりにちゃんとした山である、それもそこにある神社までの道は石階段があるものの、手入れがされていないので歩きにくくてしかたない。
 老人の足にはやはりきついようで、まだ1/3も上っていないところですでにじいちゃんは息がきれてきている
 俺は見るに見かねて、手をかしてあげて事情を聞いて見ることにした
 「なんたって古びた神社に用があるの?俺がいなきゃいけないのかな?」じいちゃんは、さっきまでの勢いは嘘のように俺の手をとるが、たいしたことではないっと言う一方だ
 そうこうしていると、古びた鳥居が見えてくる、ここは家が所有する神主もいない神薙神社という
 神社につくと、じいちゃんはずかずかと中に入っていく、中には何も祭られておらずよく解らないつづりや何故か自転車のタイヤ等が置かれていて、ちょっとした物置となっている。
 「おお、あった!あった!これじゃ、これじゃ!」っとじいちゃんは満足そうな笑みを浮かべている
 じいちゃんは、黒い木の箱を持ってこちらに近づいてくる。
 それは直径1mほどの長方形の漆塗りの箱だった。
 「じいちゃん、これなに?」 とりあえず聞いてみる。
 「これを、お前に託す!」・・・何度も言ってますが、事情を説明しろ!このボケ老人が!
 「えっと、丁重にお断りします」っと俺が返すと・・・泣きそうな顔をするじいちゃん・・・かんべんしてくれよ。
 「わかった!わかったよ!でこれなんだよ!」っと言った瞬間、じいちゃんの禿頭が・・・いや目がキラリと光ったのが見えた・・・いい年して、孫をだましやがった。
 すると、じいちゃんはおもむろに漆塗りされた黒い木箱を開ける。
 すると中からは異様な黒塗りの剣(つるぎ)?
 それは、剣というにはあまりにも不恰好な剣である。
 刃渡りは、箱の大きさとほぼ同じで約1m、刃の中央あたりに両の刃の方向に向かって赤いラインの溝が三本は入っていて、刀身はむき出しで赤い布が無造作に巻きついている。
「これは、神薙家につたわる 二郡八呂陀剣(ふたこおりやろだのつるぎ) だ!」
 その後、じいちゃんは事情を説明しだす。
 この二郡八呂陀剣は、代々神薙家に受け継がれてきてる剣で、本来はおやじが所持して護りいずれは俺に引き継ぐはずなのだが、おやじが転勤族でそれも難しいということでじいちゃんがその役を、しかたなく担っていたということなのだが、最後にじいちゃんは・・・
 「何な、わしも年でな・・・体がうまくいかんのだよ、ここは知っての通り酷い田舎だで、今までは村のもんの助けがあったが、年々それもな・・・そこでお前たちと一緒に住むことにしたんじゃ・・・よって先に代々護りしこの二郡八呂陀剣だけ先にな・・・」すごく寂しそうに言う、そして最後に「わしも、さほど長くないだで」と言う。
 しばしの沈黙が続く、俺は沈黙に耐え切れず、わかったと言う代わりに剣を手にとってみる。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・!
 足元に穴!俺がすっぽりおさまるサイズに足元が円形の真っ黒い穴になっている!「ぎゃ!」っと叫び、思わずじいちゃんにすがりつく・・・
 「なにを抱きついとるんじゃ!」っと俺を軽く突き飛ばすじいちゃん
 え?ええ?・・・・先程まであった穴がなくなってる・・・・
 「あれれ??さっきそこに穴が開いて、落ちそうになって」っと必死に訴えかけるが
 「なんだ、ここは薄暗いし所々ボロがきているかな、はっはっはっ!時紡は以外に臆病じゃなぁ」違う見間違えじゃない、たしかに真黒い穴が足元にあったんだ・・・いや結構今日はずいぶん歩いてたから疲れてたのかな。
 「さ、日が暮れると危険だ、もどるぞ」とじいちゃんは、剣を箱に詰め始める。
 「あ・・・そだ、じいちゃん問題あるぞこれ」そう、一つ気がついた今時こんな物騒な物をもって、交通機関を利用しもしも見つかったらテロリストと勘違いされるし、もちろん没収される。
 それこそ大問題じゃないのかと?持ち運ぶなら車にしないとヤバイかもと俺はじいちゃんに話す。
 「ああ~、銃刀法違反だと言いたいのだな、それは問題ないぞ・・・・・これ刃物でないだで」ほれとしまいかけていた剣で腕を切るさまをじいちゃんはする。
 まったく切れる様子はない・・・ええええ~~~、そんな飾り物みたいな剣が家の家宝ですか?ちょっとかっこいいかもって思っちゃたじゃないかよ!
 その後、俺とじいちゃんは家に戻ると、なんだか家の中が騒がしい。
 「おお~、もう準備はできてますで、刻定(じいちゃんのことだ)さん早く早く、時継君も」っとたぶん村人らしい年寄りにせかされる。
 どうやら、俺の誕生日を祝うために村を総出で準備をしてくれていたようだ。
 その夜は、大いに盛り上がっていただが、途中からじいちゃんがこの村を出ていってしまうことを知っている村人達は、それを惜しむ声がたびたび聞こえた。
 翌朝、じいちゃんにいつから一緒に住むかを聞くと、「こっちでやることが少しあるから、夏の間は無理だで、9月から10月くらいになる」と
 「じゃ~またね、次は家だね」と簡単な挨拶をかわし、最後に家宝の剣をくれぐれも頼んだぞと念をおされ、じいちゃん家をあとにした。
 時紡はその後、後悔することになる。
 家宝の剣など受け取らなければと、いや別れ際にすぐにでも一緒に住もうと祖父に提案していればと・・・いや、せめてもう少しだけ・・・
 時紡が祖父の顔を見ることができたのは、この日が最後だったのだから。
-序章.4 研究機関-へ続く
-作者より-
すみません。更新がだいぶ遅くなりまして^^;
それも、ちょっと長くなってしまいw
さてさて、次で序章も終わりになる予定です。1章からは色々と主演者が増えていく予定ですのでお楽しみに^^
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